「失敗学のすすめ」に学ぶ

畑村洋太郎著「失敗学のすすめ」(講談社文庫)を読んだ。〔2000年11月単行本・講談社

目から鱗の学問といったら大げさか。なんとなくぼんやりとイメージしていたことが納得できた。身近には失敗を生かさないこと、失敗に学ばないで同じ間違いを繰り返すことが散見〜日常的にあると思ってきた。プロローグにある「失敗に学ぶ『失敗は成功の母、陰の世界の情報伝達、なぜ致命的な失敗が続くのか、失敗のプラス面に目をむけよう』」は中を読んでみようと思うに十分だった。

1章 失敗とは何か、2章 失敗の種類と特徴、3章 失敗情報の伝わり方・伝え方、4章 全体を理解する、5章 失敗こそが創造を生む、6章 失敗を立体的にとらえる、7章 致命的な失敗をなくす、8章 失敗を生かすシステムづくり。エピローグ「失敗を肯定しよう『日本企業の抱える病根、マネ文化の限界、そして失敗は続く』」

「起こって当たり前の失敗からスタートしよう」と著者は言います。また、創造の喜びについて述べています。「99の失敗にに感じる絶望感や怒りよりも、たったひとつの成功から得られる喜びの方が大きい・・・」人の進歩にはそういうことが大事と思った。

現実には、失敗を見つけたら原因よりその責任追及ばかりが強調される。したがって、見つからないよう隠匿する。ばれなきゃいい。見つかると失敗のことよりも隠したことが大きく取り上げられる。さらに、巧妙に隠そうとするね。「失敗を生かすことを大切にしなさい」と著者は書いている。

労働災害における発生確率=ハンリッヒの法則(1:29:300の法則)もわかりやすい。 1件の「重大災害」の陰には、29件の「かすり傷程度の軽災害」があり、その陰には300件の「ケガはないがひやりとした体験」がある。

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